法人税に関する改正について更新しました。
法人税率が平成28年度、平成30年度と段階的に引き下げられるので、事例を交えてどれくらい減税になるのか
見ていきたいと思います!
法人実効税率が改正前に比べ、平成28年度に2.14%、2年後の平成30年度にさらに0.23%と、
順次引き下げられます。
そのため、まず法人税率が平成28年度に23.9%→23.4%へと0.5%引き下げられ、
平成30年度には23.2%へと、さらに0.2%引き下げられます。
<普通法人税等の法人税医率>
・現 行 : 23.9%
↓
・平成28年4月1日以後に開始する事業年度 : 23.4%
↓
・平成30年4月1日以後に開始する事業年度 : 23.2%
<地方法人税の改正>
地方法人税の税率は、平成29年4月1日以後開始事業年度より4.4%→10.3%に
引き上げられます。一方で、都道府県民税法人税割、市町村民税法人税割、事業税所得割の
税率が引き下げれれるため、法人実効税率にはほぼ影響はありません。
《事例》平成28年度に課税所得金額1,200万円であった場合の中小企業の法人税減税額は?
改正前:法人税額=(800万円×15%)+(400万円×23.9%)=215.6万円
改正後:法人税額=(800万円×15%)+(400万円×23.4%)=213.6万円
⇒ したがって2万円の減税(215.6万円-213.6万円)になります。
中小企業者等が取得した30万円未満の減価償却資産(年間取得合計300万円を限度)を全額損金算入(即時償却)できる措置は、中小企業のマイナンバー制度への対応や消費税率の引き上げに対する設備導入を支援するため、適用期限が2年延長されます。ただし、従業員1,000人超の法人は対象から除外されます。
<取得価額> <償却方法>
30万円未満 : 全額損金算入(即時償却) ← 中小企業者のみ。従業員1,000人超の法人を除外して
20万円未満 : 3年間で均等償却(残存価額なし) 2年延長(年間取得合計300万円まで)
10万円未満 : 全額損金算入(即時償却)
・適用期間
平成30年3月31日までに取得・事業共用するものに適用されます(除外規定は平成28年4月1日以降)。
支出した交際費について、接待飲食費に対する損金算入の特例(1人当たり5,000円以下の飲食費)
及び中小法人の年間800万円以下の全額損金算入特例が2年延長されます。
・適用期間
平成30年3月31日までに開始する事業年度に適用されます。
*医療費控除の特例として”スイッチOTC薬控除”が創設されます!
スイッチOTC薬とは、医師の処方が必要だった医薬品を薬局で買えるようにしたもののことです。
健康の維持増進および疾病の予防のために一定の取り組み(注)を行う個人が、本人および家族に係る
一定のスイッチOTC薬品の購入代金を支払った場合、その代金が年間12,000円を超えるときは
その超える部分の金額(限度額88,000円)を、その年分の総所得金額から控除できる医療費控除の
特例が創設されます。
(注)一定の取り組みとは、以下の健診等又は予防接種(医師が関与するものに限る)をいいます。
①特定健康診査 ②予防接種 ③定期健康診断 ④健康診査 ⑤がん検診
・OTCとは?
Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)の略。
カウンター越しに薬を販売する形態に由来します。
・スイッチOTC医薬品とは?
医療用から一般用に切り替えた(スイッチした)医薬品のことを指します。
《具体例》解熱鎮痛剤 : ロキソニンS
胃腸薬 : イノセアバランス
アレルギー用薬: アレグラFX、ナザールAR、パブロン点鼻クイック、
コンタック鼻炎スプレー、コンタック鼻炎Z etc…
・適用期間 .
平成29年1月1日から同33年12月31日までの間に支払ったスイッチOTC医薬品の購入対価について
適用されます。
※注意※
本特例の適用を受ける場合、現行の医療費控除を受けることができないので注意が必要です。
選択適用となりますので、従来の医療費控除かスイッチOTC薬控除、どちらが自分に合った医療費控除なのか
一度検討してから選択しましょう。
地方から大都市圏への通勤など近年の通勤手当の実態等を踏まえ、
通勤手当の非課税最高限度額が月額15万円に引き上げられます。
非課税限度額が…
現行10万円 ⇒
15万円に!
・適用期間
平成28年1月1日以後に受けるべき通勤手当について適用されます。
*新規取得の機械装置の固定資産税が3年間半減されます!
中小企業者が新規に取得する一定の機械装置について
3年間、固定資産税を2分の1に軽減する特例が創設されます。
(平成31年3月31日までの間に取得したものに適用)
(例)
平成28年中に取得した設備 ⇒ 平成29年1月1日時点に所有する資産
↓
平成29年、30、31年度の3年間は
固定資産税が半減!
そのため、赤字の中小企業が機械等を取得した場合などにも減税効果が期待されます!
※対象となる「一定の機械装置」とは・・・
・「中小企業の生産性向上に関する法律」(仮称)の認定計画に基づき取得する
新規(販売開始から10年以内のもの)の機械装置(新品)
・1台または1基の取得価額が160万円以上のもの
・旧モデルと比べて生産性が年平均1%以上向上するもの
この機会に固定資産の入れ替え、新規取得を検討してみてはいかがでしょうか。